中合い問題の解説 その6

ながとさんからトラックバックいただきました。(→ http://d.hatena.ne.jp/mclh46/20100107/1262867692
) さっそく見ていきます。


■ 「3手詰みの打ち中合い省略定理」のORノードへの適用



5三角、4四角、3五角、2六角は、いずれも6二金(受け側に利きのある合駒)と受けられ、その時に、同角成(ここで3手目)しかないのですが、8二玉と逃げられるので少なくとも3手では詰みません(少し長い詰みはありますが作図次第で消せます)
一方、1七角と打った場合、6二金同飛成で3手詰めです。
なぜ、遠くから打つ事で詰みが生じたのかには、以下のようなトリックがあります。
1七角と打つ事で、1一香車にピンされていた1二の飛車が動かせるようになった
6二飛成という合駒に対する唯一の一手詰めが発生した
このように遠くのマス目にある駒がピンされているかされていないかによっても、玉周辺の勢力図、もっと言えば攻め側に可能な直接王手の種類が変わって詰みや不詰めが生じるようです。
1七角は少し揚げ足取りのような感じですが、
こういった自玉を安全にしながら相手を攻める手というのは攻防手と呼ばれるちゃんとした手筋で、実際に出てくる確率は高そうです。

これは私は気づいていませんでした。なるほど。攻め方の玉と位置関係がdirec_miscではない地点(すなわち、縦、横、斜めのライン)への駒打ちはそのあとpinが回避できる可能性があるので、遠方から打つ場合でも有効打になるのですね。


1) 駒打ちの場所が攻め方の玉とdirec_miscではない
2) その駒打ちによって、pinされている駒がひとつ減る


という2つの条件が成立する場合は、例外的に遠くからでも打ってみないといけないということですね。


■ 再帰中合い省略の原理について



攻め側は1八角の一手ですが(げっ……71と金から15手ぐらいで詰んでそう……)
7二金(合駒なので二手目とカウント)同飛成の三手詰み
6三金、5四金、4五金、3六金(中合いなので、これを取り返す手が一手目)同角の時に受け側に合法手が無いので二手詰め?
2七歩(中合いなので、これを取り返す手が一手目)7二金で、同飛成という唯一の一手詰めが無いので不詰め(正確には15手ぐらいで詰みそうですすみません……)
このように、ピンされていない駒を、打ち中合いによってピンさせる事により、ピンされた駒による直接王手が無くなり、三手詰めもなくなるという場合があるようです。

さきほどのと同じケースですね。たぶん条件もさきほどのと似ていて、


1) 飛び駒の移動元が攻め方の玉とdirec_miscではない
2) その飛び駒の移動によって、pinされている駒がひとつ減る


という2つの条件が成立する場合は、中合いが有効になる例ですね。

距離3に打ち中合いして詰まなければ、それより遠くに同じ種類の駒を打ち中合いしても詰まないという省略原理ならば成り立つのかもしれません。

そうですね。「歩」は打てる筋が決まっていますので、歩に関しては、この判定が必要なのですね。距離3以上のところに歩を一度でも中合いすれば、それより離れた地点への歩の中合いの判定は省略できる、ということで・・合ってますかね。



7二桂成は9二に逃げ道が出来るので、7二飛成としたい所ですが、1一香にピンされています。
そこで、1八角の一手ですが、
7二飛同角成は三手詰め
6三歩、5四歩、4五歩(打ち中合い)にも同角7二飛同角成の三手詰め
3六飛(移動中合い)は7二飛成の一手詰め
2七歩(打ち中合い)なら、同角 3六飛(移動中合い、この時7二飛成りはピンされていて無理)同角 
5四歩(これは利きありの合駒なので二手目、攻め方の手駒に飛車があるが打っても王手がかけられない、7二桂成は9二に逃げられる、7二飛はまたもピンされていて無理)→不詰め!!
自分で言うのも変ですが奇跡のような詰め将棋なので、1000年実戦を重ねても出てこないと思います。

これはこれで面白い局面ですね。


ええと、まず「再帰中合い省略の原理」は、打ち中合いに関してだけで移動中合いは盤面上の勢力関係が変化するので、これに含めません。


よって、上のは「移動中合い省略の定理」のほうで扱う問題となります。「移動中合い省略の定理」を適用してみますと、18角で王手されたときに、76の飛車をそのラインに移動させると87の角のラインが18角のラインと54で交差しますので、この移動中合いは省略できない、ということを「移動中合い省略の定理」が教えてくれます。


■ クラウドによる解決!


クラウドコンピューティングクラウド「群衆」という意味ですが、今回のような難問は、人間のクラウド、すなわち、詰め将棋に詳しい方のお力を借りてマンパワーで解決するのが適していると私は考えています。


オープンな場で、プログラミングは出来ないが詰め将棋にはめっぽう強いというような人によって、コンピュータ将棋が進歩するというのは、あまり前例が無く、今回のお正月企画はなかなか面白かったのではないかと思います。


私も気づかないような局面をいろいろご指摘いただいて、本当に勉強になりました。ありがとうございます。


反例となる局面などについては今後も募集しております。どしどしお寄せください。